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奥成達資料室blog版

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2007年 05月 27日

「雲遊天下」

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季刊「雲遊天下」第43号(2007/6) ビレッジプレス

p30)
街の熱気を一冊の雑誌に 
奥成達(1970.3創刊『東京25時』

雑誌づくりはホント楽しかった。
……原稿を書くに到るまでに準備しなければならないことがやたらに多く、そのことの繁雑さのほうがハードだった。それと出張精算。
しかし、そのどれもが嫌だと思ったことは一度もなく、その一つ一つの作業はいま思い出しても楽しかった。……

自分は、この混沌として刻々と変わっていく東京の街のエネルギーに、どっぷりと浸って全身参加していることがつくづく大好きな人間なのだと思い当たった。
そして、自分の好きなこの街の熱気をなんとかして一冊の雑誌にまとめられないものかと思うようになったのは1969年。そしてその願いがかなったのは1970年。タウン誌『東京25時』(アグレマン社)の発刊である。
編集者はぼくと、広告代理店で企画やコピーを担当していた高校の一年後輩の西脇英夫を誘って手伝ってもらい計二名で始まった。……

ところが思わぬところから、ぼくらはこの『東京25時』を途中でやめることになってしまった。
「サザエさま」事件は、もうあっちこっちで書いたり喋ったりしているので詳しく述べないが、ようするに「サザエさん」のパロディまんがを掲載したところ、作者の長谷川町子さんに訴えられて、結果50万円を払わなくてはならなくなってしまったのでえある。……
三人で外でアルバイト原稿を書き、毎月5万円づつを払うようになった。
およそ一年がかりでようやく払い終わったところで三人は『東京25時』編集部を退社する。だからその後のことはよくわからないが、口惜しいのだけれどほどなく『東京25時』を書店で見かけなくなった。……

自分がこれまでにつくった単行本は、ゴーストライターの場合も含めると、もう100冊以上はとっくに超えているはずである。……

人生をこんな「雑誌」のように生きること。けっしておすすめはしないが、なかなか面白くて、「楽しかったよなあ」と、いまでもつくづく思えるのが、ともかく幸せである。

by 4-kama | 2007-05-27 21:34 | 雑誌登場編


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