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2004年 06月 20日

サンデー毎日 2004.6.20

サンデー毎日 2004.6.20

サンデーらいぶらりぃ
快読楽読 マークス寿子
 大学の比較文化論の講義で、中国からの留学生と日本の学生に「郷里」の有名料理、「わが家」の人気料理について書いてもらったことがある。
 留学生は各自これぞという料理を挙げて材料、作り方、旬などを細かく説明してくれた。日本の学生は郷里の料理や、「わが家」の料理を思いつかない人が多かった。家庭で親がほとんど料理をしないという学生も何人かいた。
 かつて、外食など年に一、二回の行事だった昭和30年頃までに育った私たちには、本書は料理の本ではなくて、家族の絆を語る本である。
 ここに挙げられた36種の料理は、すべて昭和の子どもが味わったもの、私たち60歳以上の人間の味覚の基礎をなすものである。
 ハンバーグやスパゲテイでさえ、その頃私たちが味わったものは正真正銘日本の味、家庭の味であった。このような料理を作る母親の手伝いをして私たちは自然に料理を覚えたものである。巻きずしを作る手伝いなど、ワクワクするほど楽しかった。
 当時は、「レシピ」などという語は存在しなかったし、味つけも適当なサジ加減と、自分の舌で味わいながらやったものである。
 また、食卓は家族の団らんの場であると共に、しつけの場でもあった。「いただきます」の挨拶から始まって、箸のもち方、食べる時の姿勢、食べ残さないことなど、お腹を空かせてガツガツ食べるこどもたちは食卓で厳しい教育を受けたものである。
 このような家庭料理は、少し大げさに言うならば、日本文化の伝承といっていいものであり、私たち日本人が失ってはならないものである。本書に収められた、私たちにとっては懐かしい「家庭の味」を、今のこどもたちがどう感じるか、ぜひ訊いてみたいものだ。親が作って食べさせて、会話のネタにしてはどうだろうか。

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by 4-kama | 2004-06-20 20:09 | 昭和なつかし関係