奥成達資料室blog版

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2005年 06月 10日

「傾向報知」

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「傾向報知」10

発行日:1982.9.28
支配人:永井孝史 発行所:傾向報知倶楽部 A.D:神保力+studio 上海 印刷所:ワニ・プロダクション

村島正浩 奥成達 永井孝史 榊原淳子 相場きぬ子 根石吉久 石毛拓郎

p4) 永遠の憂鬱 奥成達

 1
右側のサボテンと並んで立っていると
左側の向日葵と並んでいることになるのが
憂鬱な日
じっと手を見る。
 2
ある日
穴が裏返った
おかげで裏返った記憶も裏返り
こうして
穴のコルクを抜いている、
 3
交差点に掛けた影が溶け出し
小壜につめられた
真昼が
赤信号を点滅している。
 4
俄雨を呑みこむと
胸のあたりの骨につかえて
それから大声を一つ出し
急に悲しいことを二つ思い出し
みんなバラバラに崩れた。
 5
穴を見上げると女は身震いした
だからといって
男も無言で
話しかけることもできずに
やっぱり穴を見下して身震いした。
 6
皿の上で
指を折って
これまでの愛の勘定をしている
手首
一。
 7
たとえば犬を猫のように
花を鼻のように可愛がる男に対して
女は怒るのだろうか
少し羨ましいのだろう
というのをこの問題の正解とする。
 8
水平線の上の一艘の軍艦を見ながら
年増のショオガールを想っているところを
双眼鏡で見られているので
あわてている熱帯夜。
 9
黒い手袋のように
真夏のサッカー場を横切っていった
虹色の疑問符。
 10
角の藪蕎麦でもりそばを食べながら
表通りを流れていくものについて
浴せる罵声こそ詩である。

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by 4-kama | 2005-06-10 13:42 |


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