奥成達資料室blog版

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2012年 02月 12日

『詩の窓』藤富保男

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『詩の窓』藤富保男(思潮社)

p012) 魔ダダ模様
……1974年6月30日というある日、奥成達、山口謙二郎、岡崎英生、三上寛とぼくの5人はある雑誌を出そうと集合した。場所は銀座の山口謙二郎の事務所。この雑誌は2号で消滅の運命にあったのだが、2号の後記に創刊号がどのような状態でまとめられたか、名付けられたかという模様が書かれている。……
後記のつづきには、「創刊号では、三上寛「いくらなんでも」、岡崎英生「航海譚」、奥成達「汽笛が鳴るまで待てない」、藤富保男「調査委員会」のそれぞれの詩が、即座に手書きで書かれて、各詩のうらに、山口謙二郎の創意によるオブジェがデザインされ、詩ともども特別なファックスで焼付けられた。綴じは山口宅でミシンで一枚ずつあわせて行われた。縦26センチ、横14.5センチの50部限定でもう手許にはない。……

p045)ある詩人のことで

  木星人

 オルガンをふみながら月の砂漠を行くラクダ2頭
 バナナ色の東洋人の消防夫が2人
 雨の街を走っていく警官2人
 肉屋の前で花屋のように立っている男女2人

 計8人が木星人なのです


  女房
 
 女房があんまり肥ってしまったので部屋に閉じ込めたままにして
 おいたらカビがはえた。木の上にいた殺人犯がこれを見て吹きだ
 した。


 これは奥成達が書いた詩である。その昔は家族で文芸の雑誌「よにん」を出していたほど、幼少の頃からソノミチに異常な気圧を示していた詩人である。
 世に種々の職業を経験しながら、自分の道を確認するタイプの人があるが、奥成達も例外ではない。現在彼は雑文学という名の著述業の座にすわっているが、詩集、散文集のほか『3時間笑いっぱなしの本』、『俺はスーパーボーイ』『空飛ぶ冷し中華』『全部切り抜く本』など、実に爽快でワンダラスな著作を出している。……彼が北園克衛の「VOU」に加わったのは、その終刊の前であった。このときは彼が地道な詩人になるのかと、少々ドギモを抜かれたのである。
 その彼が今度『定本ジャズ三度笠』(冬樹社)を上梓した。その一部で、
「僕はとくにポエジィなんというのは、さらにその軽々しい気持とかムードの端っこや隙間をスッと一瞬走り抜けていくくらいが小気味良く、それが軽ければ軽いほど、曖昧であればあるほど、観たり読んだりしているこちら側にはポエジィが正確に伝わってくるもののように思っている」
 と書くとき、ぼくのドギモは、この痛快な詩論に拍手をしたのである。
……奥成達はトラムペットを吹き、赤城の子守唄ふうに艶歌を愛し、草野球の三割バッターをめざしている。……
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by 4-kama | 2012-02-12 18:58 | 書籍ウェブ登場編


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